
琉球絣
日本全国のかすりのルーツ
味わい深く浮かび上がった琉球ならではの図柄が魅力です。
琉球かすりの多くには「イチチマルグムー」や「トゥイグワー」など、琉球独自の図柄が織りこまれています。図案通りに織れるよう計算して、糸の部分部分を色分けして先に染めておいたうえで、タテ・ヨコの糸を織り上げます。
糸の染め方・織り方の加減によって、図柄のエッジがわずかにかすれたようになることから「かすり」と呼ばれます。手織りならではの微妙な味わいのある模様や色彩が浮かび上がるところが「かすり」の魅力となっています。織り上がった布を後から染める「後染織物」とは違う点です。
琉球王府の「御絵図帳(みえずちょう)」に定められた600種もの多彩な図柄。ひとつひとつの図柄に意味がある。
琉球かすりには多彩な幾何学模様が織り込まれています。植物・動物・生活用品などをモチーフにした模様で、琉球王国時代の「御絵図帳」を元に、職人たちが現代の感覚を取り入れてオリジナルをつくりあげます。
「御絵図帳」とは、絵図奉行によって まとめられた図案集。琉球かすりが貴重な貿易商品だった時代、王国に収める貢納布を織らせるために模様や染色などを細かく指定したものです。
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ティージクンピーマー…握り拳に似た文様。かすりとかすりをつなぐ小かすりとしてよく用いられる。
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八ナアシー…三筋を織り合わせて、花の形を2つ、段違いに並べた文様。
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ミミチキトーニー…耳付き(取手付き)のエサ箱や湯船などの四角い容器のこと。
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ビックー…ベッコウをあしらった吉祥文様で、長寿祈願の思いを込めている。
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イチチマルグムー…5つの丸い雲を表現した文様。琉球かすりの代表的な柄のひとつ。
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ブリブサー…経かすりと緯かすりの重なりで地色との対比を強調。夜空の群星を表現。
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経緯かすり(たてよこがすり)…ハタに似たかすりと2つの四角は、かすり全体にバランスよく配置される。
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トウイグワー…2羽で飛ぶ鳥小を表した文様。琉球かすりの中で最も多く用いられる。

製品になるまで
01. 種糸とり
御絵図帳や他の絣図案を参考にして独自の絣図案を作成する。
05. 巻取り
経糸の地糸を同時巻きしながら、ちぎり箱(ブーブー)に巻 いていく。
02. 絣括り
あらかじめ種糸をつくり、それに従って手で絣くくりを行う。
06. 綜絖掛け
巻き終えた経緯糸を左から順序よくすくい割竹を使って綜絖掛けを行う。
03. 染色
琉球藍、福木、グール、テカチ等の植物染料を用い多彩な色を染色する。
07. 製織
木製高機により手投げ杼(ひ)を用い、絣柄を合わせながら織る。
04. 糊づけ
作業中の絣模様のズレを防ぐため、経糸を糊づけする。
08. 製品検査
製品検査場で、ベテラン検査員によって厳重な検査を受けます。